出会いと別れ

春は出会いと別れの季節と言うけれど、僕は季節的には春はあまり好きではない。イコール、出会いと別れが頻繁に多発する季節が好きではない。


小学生、中学生の頃は親が転勤族で、3回ほど引っ越している。いづれの季節も春だった。もともと引っ込み思案で引きこもりで人見知りの性格である僕としては、出来ることなら死ぬまで仲のいい人達と一緒にいたいと思っていた。だけどそうは問屋がおろさないらしく、やはり転勤先で仲のいい友人を作ることが中々出来なかった。

社会人になってもその性格は変わっていなかったらしく、去年の春に7年間という長らく勤めていた出向先(7年というのはよく考えれば小学生をまるまる過ごす時間でもある事に驚いた)との契約が切れ、新しい会社に出向しだした時も、小学生の頃と同じ、切なさと寂しさを味わった。知らない人の前で挨拶する今の僕と、知らないクラスメイトの前で挨拶していた昔の僕は、何も変わっていなかった。

これからも出向先が変わることは度々あるはずだし、時間が経てば流石の人見知りの僕もその環境に慣れてくるとは思うけど、何度体験してもあの「新しい人」「新しい場所」に対する不安と言うのは苦手だ。そしてその後に、「昔の人」「昔の場所」が恋しくなって情緒不安定になる。単純に僕が女々しいだけなんだろうけれども。


今も、後ろの席では明日からの異動の為に自分の荷物を荷造りしてる人と、前の席では明日からやってくる新人の為に机を拭いている人がいる。やっぱり、出会いと別れは、好きじゃない。